「すみだ川アートラウンド・ハブ」は、隅田川流域7区(北区・足立区・墨田区・台東区・荒川区・江東区・中央区)を舞台にまちづくりや文化、アートにまつわる事業を展開するNPO、文化・芸術団体の評価(ピアレビュー)を通じたネットワークづくりをしています。「ピア」とは「同僚や仲間」のこと。「ピアレビュー」は自分たちと似たプロジェクトの視点を借りて自身を見つめ直す写し鏡のような評価方法です。令和4年度には「アウトリーチ」をテーマに隅田川流域で活動する4団体とピアレビューを実施しました。
今年度は「地域のマイクロアートスペース」をテーマにピアレビューを実施しました。ピアとなったのは、墨田区を拠点に活動する「一般社団法人藝と」と、お隣の足立区で活動する「らんたん亭」の2団体です。「一般社団法人藝と」は、アート(=藝術)を「より良く生きるための術」と捉え、福祉施設へのアウトリーチや協働プログラムの企画などの活動を行っています。「らんたん亭」は、中高生を対象とした子供食堂やライブ、創作ワークショップなどを行っています。どちらも、2021年秋ごろに活動拠点(藝とスタジオ/らんたん亭)を立ち上げ、工夫を重ねながら、活動を続けています。
今回の実践報告会では、両団体をゲストに9月からお互いの拠点を訪ね合い、それぞれの課題や地域性など共有しながら行ってきたピアレビューの実践報告を行います。
「すみだ川アートラウンド・ハブ」は、隅田川流域7区(北区・足立区・墨田区・台東区・荒川区・江東区・中央区)を舞台にまちづくりや文化、アートにまつわる事業を展開するNPO、文化・芸術団体のネットワークづくりをしています。昨年度は、「アウトリーチ」をテーマに、それぞれの場所に根差した文化芸術活動を行っている団体に着目し、隅田川流域で活動する4団体を招き、2団体ごとにお互いの事業内容などについてピアレビュー(同業者による相互評価)を行いました。今年度も隅田川流域の団体を対象にピアレビューを実施し、その成果報告会も予定しています。
それに先立ち、今回は「ピアレビュー入門編」として『アートプロジェクトのピアレビュー 対話と支え合いの評価手法』(2020年、水曜社)の出版にも携わり、さまざまなコーディネート、コンサルティング業務を通してアートプロジェクトに伴走してきた若林朋子さんをお招きし、公開講座を実施します。講座では、アートプロジェクトの評価やピアレビューの基礎知識や実践方法などについて学びます。
「ピア」とは「同僚や仲間」のこと。「ピアレビュー」は自分たちと似たプロジェクトの視点を借りて自身を見つめ直す写し鏡のような評価方法です。本講座を通して、文化芸術活動に携わる方々が、ピアと出会い、ネットワークが形成されていくきっかけとなることを目指します。
登壇者プロフィール
青木 彬 (一般社団法人藝と/インディペンデント・キュレーター)
1989年生まれ。東京都出身。東京都立大学インダストリアルアートコース卒業。一般社団法人ニューマチヅクリシャ理事。アートを「よりよく生きるための術」と捉え、アーティストや企業、自治体と協働して様々なアートプロジェクトを企画している。近年は社会福祉とアートの接点を模索し、調査や実践を重ねる。「黄金町バザール2017 Double Façade 他者と出会うための複数の方法」(横浜市、2017年)アシスタントキュレーター、社会的擁護下にあるこどもたちとアーティストをつなぐ「dear Me」プロジェクト(AIT、2017~2020年)企画制作、まちを学びの場に見立てる「ファンタジア!ファンタジア!─生き方がかたちになったまち─」(墨田区、2018年~)ディレクターなど。
磯野 玲奈(一般社団法人藝と/アートマネージャー)
1996年生まれ、茨城県出身。女子美術大学芸術学部日本画専攻卒業。同大学大学院美術研究科アートプロデュース研究領域修了。大学院在学中よりアートプロジェクト「ファンタジア!ファンタジア!−生き方がかたちになったまち−」の事務局にて企画・広報を担当し、修了後は事務局長として運営に携わる。
中島 正行 (らんたん亭代表)
1996年生まれ。東京都出身。創価大学理工学部共生創造理工学科卒業。株式会社ヨドバシカメラ在籍中にらんたん亭を立ち上げ。足立区を拠点に地域中高生から大人までを対象に「居場所」と「きっかけ」の提供を行う事業を展開。個人としては写真家、カメラマン、DIYer、隠れ家酒場-rantan-店主として活動。
森隆一郎 (合同会社渚と 代表社員 / アーツカウンシルさいたま プログラムディレクター)
1966年東京生まれ。90年代より江東区文化センターやティアラこうとうで企画制作を担当、並行して2002年からアサヒ・アート・フェスティバルに立ち上げから参画。2007年いわき芸術文化交流館アリオス マーケティングマネージャー、2012年からアーツカウンシル東京 広報調整担当課長。2018年独立。陸と海の境界線が揺らぐ場 =「渚」にちなんで、アートと社会の間に新しい関係性を育むことを目指す「渚と」として活動開始。その他、東京藝術大学すみだ川アートラウンド・ハブ・ディレクター、文化施設での研修プロデュースや自治体の文化政策、街づくりのヴィジョン策定など多面的に活動。2022年10月よりアーツカウンシルさいたま プログラムディレクター。共著『文化からの復興 市民と震災といわきアリオスと』(水曜社)、『地域と文化芸術をつなげるコーディネーター インタビューによる事例調査』(一般財団法人地域創造)。
熊倉 純子(東京藝術大学 教授)
パリ第十大学卒、慶應義塾大学大学院修了(美学・美術史)。(社)企業メセナ協議会を経て、東京藝術大学教授。アートマネジメントの専門人材を育成し、「取手アートプロジェクト」(茨城県)、「アートアクセスあだち―音まち千住の縁」(東京都)など、地域型アートプロジェクトに学生たちと携わりながら、アートと市民社会の関係を模索し、文化政策を提案する。東京都芸術文化評議会文化都市政策部会委員、文化庁文化審議会文化政策部会委員などを歴任。監修書に『アートプロジェクト─芸術と共創する社会』、共編書に『社会とアートのえんむすび1996-2000─つなぎ手たちの実践』(共編)、共著に『「地元」の文化力―地域の未来のつくりかた』など。