3/2開催 隅田川船上ワークショップ

船上ワークショップの開催日は良い天候に恵まれ、隅田川の両国リバーセンター発着場に参加者が集まるにつれて、イベントへの期待感も高まってきました。

乗船後、まずは参加者全員でルーフトップに出て、隅田公園や東京スカイツリー、すみだリバーウォークなどの隅田川下流の名所を観覧しました。そして、船は隅田川の上流側へと進んでいきます。

本イベントの舞台となった船

初めに東京都河川部・東京都公園協会から話題提供があり、東京都河川部からは隅田川テラスの整備状況や今後の取り組みについて、東京都公園協会からは水辺整備のあり方についてご紹介いただきました。

次に、計4回の検討会に参加した東京都河川部の鈴木氏・ボードメンバーの飯石氏・岩本氏・清宮氏から、検討会を振り返って内容の共有がありました。

船上シンポジウムの様子

市民を活動に引き込むために「(空間を)使っている風景を見せていく」ことや、「自発的にやりたいという人が出てくるまで待つ」こと、そのために「色々なセクターをつなぎ合わせるハブとなる中間支援組織が、コミュニケーションの手間をかけて、やりたいことを引き出す」ことの重要性が語られました。

さらに水辺においては、河岸の形質や沿岸のまちとの関係性など、エリアごとの特徴が多くあります。これらの「水辺の特徴を上手く伝えること」も重要だという言及がありました。

船上シンポジウムでは船窓に見える水辺の解説も楽しみのひとつ

東京都河川部の鈴木氏は、検討会を通じて、「プレイヤーと繋がることの難しさと大事さ」、「周囲を巻き込んでいくことの重要性」を実感したそうです。年1回のイベントに留まらず、「ちょっとした相談ができる常設の拠点があり、水辺の話ができると良い」と感じたとのことでした。

ボードメンバーからは、補足として、「公平性・透明性を保ちつつ個別具体の関係を作っていけるのが中間支援組織であり、拠点をベースに、中間支援組織が都の目的に沿って団体や人を繋いでいくというビジョンがそろそろ必要ではないか」と提案がありました。

そこでワークショップでは、「(流域全体を含む)隅田川がどうなっていてほしいか?」というビジョンをA4の紙1枚に書き、グループごとに大切にしたいビジョンを1つ選んで、そのビジョンに辿り着くまでのタイムラインを書き出していきました。

船上ワークショップの様子

本レポートでは3つのキーワードで各グループの提案をご紹介したいと思います。

―日常-

「隅田川を日常の生活の中にあり続ける場として育てていきたい」という声が複数のグループから挙がりました。「船の日常化」というテーマや、「みんなの自分ちの庭」というコンセプトで考えたグループもありました。「ほどよい賑わいをつくる」、「イベントの賑わいだけでなく、ひとりになれる静かな空間があることも大切にしていきたい」という意見や、おしゃれさにこだわらずに「ゆっくりと、ゆったりと」をキーワードにしたいという意見が賛同を集めていました。

―つながり-

水辺を「つながりが生まれる場」として捉える視点は多くの参加者に共有されているようでした。また、「利用する人それぞれがやりたいことが表現できる」ことの重要性が複数のグループで語られました。例えば、「すみだのものづくりに着目し、工業の実証実験ができるフロートを河口に設ける」という提案は、まさに水辺に新たな「つながり」を生もうとするものでした。

『隅田川等における未来に向けた水辺整備のあり方』では隅田川に8つの拠点(防災船着場)が計画されていることに基づいて、8拠点での取組を「つないだ」広域的な水辺活用についても提案がありました。「8拠点でアイディアコンテストを行い、各アイディアを2カ月単位で8か所の拠点を巡って実現していく」という提案や、「8つの拠点を水辺カフェとして根気よく意見交換を続ける場として活用する」という提案など、具体的な案がいくつも登場しました。

別の観点では、「川のバリアフリーを進め、車いすの人が介助無しで通勤通学に使えるように」という意見も、河川の「つながり」を推し進めたいという意見の1つであったように感じました。

―流域文化-

「隅田川を東京のもう一つの顔にしたい」という熱い声が挙がり、隅田川とその沿岸をアートの軸で活性化する具体的なプランが示されました。また、「隅田川周辺の歴史のことや街のことを知らない、船のことを知らない、もっと知りたい」という声も複数のグループで上がっていました。隅田川流域の中でも上流部・下流部・支川など様々に状況が異なることから、「それぞれの流域文化を尊重した文化圏を形成していきたい」という声があったことも印象的でした。

着岸後の両国リバーセンター前の様子

プレゼンやトーク、ワークショップなど、盛り沢山のコンテンツがあった船上ワークショップは、ちょうど夕焼けの最も綺麗な時間帯に両国リバーセンターに着岸しました。両国リバーセンター前のスーパー堤防では多くの方が思い思いに過ごし、その中で船上ワークショップの参加者は下船後も留まって船上での対話の続きを行っていました。それら全ての人を包み込む、隅田川を照らす夕日が、隅田川の水辺活用の未来を明るく示すような光景でした。